フィリピン

フィリピンにおいて、DMIはリガオとビサヤ地区で教育の活動しています。さらに、ダバオにはろう教会もあります。

リガオ

リガオにあるフィッシャーメン・オブ・クライスト・ラーニングセンターは、約20年前から始まりました。この学校はろうの子どもたちや若者に幼稚園から大学までの教育を提供しており、約80人の生徒が通っています。フィリピンでは一般的なカラフルでユニークなジープニーと呼ばれるバスを学校で所有しています。ジープニーがあることで、生徒たちの移動手段となり、遠足にも行くことができます。通学するには遠い地域に住んでいる生徒は寄宿舎に滞在し、週末に帰宅しています。学校はマヨン山が見下ろす位置にあり、噴火により何年にも渡りビコル地方は甚大な被害にあっています。またこの地域はフィリピンでも巨大な台風がやってくる場所です。2006年には火山の噴火と台風が同時に起こったことから、本館が建て替えられ、他の建物も修復されました。現在DMIの建物は地域の避難所として認識されています。

この学校には農場があり、毎年野菜や様々な果物、米が収穫されていて、パパイヤのプランテーションも順調です。収穫のほとんどは自給自足のために用いられます。パパイヤやココナッツ等の余剰は売られ、その利益は今後もこの過程を継続していくために用いられます。精米所と豚飼育においてはろう者が雇われており、利益はいずれも学校を経済的に支えるのに役立っています。この農場はまた、高学年の生徒が農業や畜産の職業訓練を受ける場ともなっています。生徒は他にも大学でコンピュータコース、洋裁、その他の職業訓練を修了することができ、中には更に勉強を進め、自らがろう者のための先生になる生徒たちもいます。 また、人生を通して困難が生じた時に互いにサポートすることができるよう、卒業生たちが地域にろう者のコミュニティを立ち上げました。

ビサヤ地区

DMIはビサヤ地区にある2つの寄宿舎を支援しています。ろう者のための学校がない人里離れた村から来るろうの生徒を40人まで受け入れることができます。寄宿舎があるのは、ネグロス島のバコロドとサマール島の東にあるボロンガンです。ろうの生徒たちは寄宿舎に滞在し、ろう者のための公立の学校もしくは特別教育センター(SPED)に通っています。寄宿舎のリーダーたち自身もろう者で、毎日24時間、愛情を込めて生徒たちを世話しています。

バコロドは人口50万人と非常に都市化が進んだ場所です。この地域の主な農業作物としてサトウキビプランテーションも盛んです。バコロドにいる小さな子どもたちは、「家から離れたふるさと」でろう者の家の親や訓練されたろうの教師たちによって世話をされています。子どもたちは栄養たっぷりの食事、医療ケア、宿題のサポート、コンピュータを使う機会を与えられ、ろうの友達と遊ぶことも楽しんでいます。バコロドのろう者コミュニティは、ろう者や寄宿舎の子どもたちがコンピュータの技術を向上させ、インターネットにアクセスできるようにするため、インターネットカフェを立ち上げました。このことで高学年の生徒が更なる教育を受ける重要な機会を与えられていますが、10万円ほどにもなる新しいコンピュータが必要な状況です。インターネットカフェはろう者たちが集まる社交場としても活躍しています。

ボロンガンは人口約6万人で、サマール島は美しい黒砂と白砂のビーチで知られています。ボロンガン寄宿舎の10代の生徒たちは学ぶことにとても熱心で、ろうのリーダーの指導のもとに皆で清掃や料理の作業を分担して行っています。生徒の中には孤児もおり、家の近くに適切な学校がなかったことから教育を受け始めるのが遅れた生徒も多くいます。人生で初めて学校に通うことを皆とても感謝し、喜んでいます。

ネグロス島の南海岸にあるザンボアンギタでは有機農園が始められ、そこでは農業の職業訓練を受けられます。果樹園、菜園、豚の飼育が既に開始されています。カナダから来た夫婦がこの企画を担当し、盲ろうの男性とその家族がそこで働いています。このプロジェクトがろう者に訓練の機会を与え、寄宿舎を支える収入を得て、将来自給自足に役立つものとなるように願うところです。